あなた色に染まりたい
でも……



「あのときは……、蓮にどきどきが伝わりそうだったから」


「どきどき?」


「うん。……あたし、ずっと蓮にどきどきしてたんだ。抱き締められたら、それが蓮に伝わりそうで……」


「伝わってもよかったじゃん」



あのときは、蓮への想いを自覚していた訳じゃなかったから、どきどきが蓮に伝わるのが……



「凄く恥ずかしかったんだもん」


「……でも、俺はさ、あの時拒否られて、すっげーショックだった」


「えっ」



抱き締められている腕の中から、蓮を見上げると、蓮は寂しそうに眉を下げていて……


あまりに悲しそうな表情をしているから、あたしも胸が痛んだ。


だから……



「ごめんね。もう二度と拒否らないから」



そう言って、蓮の唇にあたしのそれを重ねた。
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