あなた色に染まりたい
「そっか……でもだいぶ落ち着いたよね。紗羽がずっと大輝さんのことを引きずっていたのを見てたから、今の紗羽は別人に見える。」




そうだよね。


あたし、毎日のように泣いていたから。




「蓮くんとはさ、まだ何もないの?」




少し意地悪な笑みを浮かべながら、そう言った美香。


絶対に何かあったってわかってる。


さすが美香、鋭い。




「何もって?」




気付かれているとわかっていながらも、恥ずかしさからとぼけてみせる。


でも……




「わかってるくせに。その反応、キスかなんかしたんでしょ?」




うぅ……ホントに鋭い。


何でもお見通しなんだ。


そんな美香を前に、思わず苦笑する。




「美香にはかなわないね。」


「ふふ……まぁね。で、いつしたの?」


「一ヵ月前の蓮の誕生日に飲み過ぎちゃって……つい“キスしたい”って言っちゃったの。」


「あは、紗羽らしい。てか、そんな前から蓮くんへの気持ちに気付いてたの?」


「うん。」




それには気付かなかったと言わんばかりに、美香は大きな溜め息をつく。


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