恋の魔法と甘い罠
頭の中でそんなことをぐるぐると考えていると、



ピンポーン……



何も纏まらないまま、インターフォンが鳴った。


慎也さんが来たのかもしれないと思うと、心臓がバクバクと痛いくらいに動き始める。


いつもは会えるという嬉しさから胸を高鳴らせながら玄関の鍵を開けるけれど、今回ばかりは不安で押し潰されそうなほどに胸が痛くなった。


だけどこのドアを開けなければ、あたしはずっと立ち止まったままで一歩踏み出すこともできない。


だから……


大きく深呼吸してから玄関の鍵に手をかけ、ドアを開けた。
< 136 / 357 >

この作品をシェア

pagetop