恋の魔法と甘い罠
しばらくそのまま泣き続けていたけれど、いつ二人が出てくるかわからない。


もしこんな姿を見られてしまったら、きっと慎也さんは困ってしまう。


なんて考えながら、ふっと自嘲気味の笑みがこぼれた。


慎也さんがあたしを騙していたんだから、少しくらい困らせてやればいいのに。


もう恋人同士にはなれないという現実を突きつけられながらも、心の奥底に慎也さんに嫌われたくないという思いが存在しているからか、やっぱり困らせたくないと思ってしまった。



一通り泣いてしまうと涙が止まった。


といっても、瞳のすぐそこまで涙が押し寄せてきているから、またいつこぼれてしまうのかわからない。


とりあえず、この場を去ろう。


いつまでもこんなところでしゃがみこんでいたら、不審者がいると通報されかねない。


立ち上がって、とぼとぼと歩き始めた。
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