恋の魔法と甘い罠
「だって、玲夢ちゃんの顔が……真っ赤なんだもん。……もしかして……好き、なの?」



様子をうかがうように、あたしの顔を覗き込みながらそう訊いてきた紗羽さん。


だけどあたしは、自分の顔が赤くなっていたことに全く気付いていなくて。


でももしほんとにそうなっているのなら……「好き」だと勘違いされてもしょうがない。


だけど――



「ち、違いますっ!」



若干ムキになりながらそう言ったあたしに、紗羽さんは「そ、そう……」と言って苦笑した。


ムキになる必要はなかったのかもしれないけれど、「好き」ではないんだからそう答えるしかない。


だってあたしは……


失恋したとはいえ、いまだに慎也さんのことが好きなんだから。
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