天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
その答えを握る二人は、既にリング上で対峙している。

「…しんどそうですね」

舞白がこはくに言う。

「いえ…この程度の傷は過去にも何度も経験しましたから」

艶やかに笑うこはくに。

「いえ…肉体の方ではなく…」

舞白は懐中時計に視線を落とす。

小刻みに震える秒針。

『心』が不安定な証拠だ。

「…………死神なんですってね」

こはくは呟く。

先の準決勝第二試合、苺愛が不可解な怯えを見せていた。

龍娘曰く、あれは舞白が見せた幻覚なのだと。

…それが唯一のこはくの懸念。

(もし琴月での父の記憶を幻覚として見せられたら…)

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