天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「すー…?」

そんな我を忘れた侍を正気に戻らせたのは、倒れたまま呆けたように呟くこはくの言葉だった。

…有り得ない事だった。

大上段から振り下ろされた大鎌。

袈裟掛けに、胸をかっ裂いた。

傷は相当に深かった筈だ。

内臓にまで達していると思われた。

なのに出血はもう止まり、こはく自身が触れた感じだと、ほんの皮一枚斬られたに過ぎなかった。

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