天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
救護テント。

保健委員長の治癒能力で傷を治し、龍太郎が意識を取り戻す様を、逸早くやって来た無口少女は見ていた。

「……おぉ…来てたのか…」

簡易ベッドの上で目を覚ます龍太郎を、無口少女は覗き込む。

『龍太郎君、大丈夫…?』

心配そうに見つめる無口少女。

そんな彼女の視線が、何だか辛くて。

「っっっ…」

龍太郎は傷が治ったばかりだというのに身を起こし、顔を背ける。

…肩が揺れる。

微かに聞こえるのは嗚咽か。

「はっ…ははっ…また負けちまった…しょうがねぇなぁ…そりゃフルボッコとか言われる訳だ…」

何とか笑って誤魔化そうとするものの、涙声は隠せない。

そんな彼の背中に。

『龍太郎君』

無口少女はそっと額を当てる。

『雪菜ちゃん庇ったんだよね…立派だったよ…かっこよかったよ…龍太郎君は強いよ…』

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