天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
タイマントーナメント・1回戦

第一試合

「これでよしっと…」

クモノスが龍太郎の胸の傷を縫合する。

「不思議な斬り傷でやんすね…こはくさんの斬撃は保健委員長の治癒の力で治ったのに、舞白さんの大鎌の傷は、血止めできても傷自体が塞がらないなんて…」

『八つの眼』で龍太郎の傷を見つめるクモノス。

「多分、彼女の『死神の力』のひとつなんでげしょ…確実に刈るべき命を刈り取る為に、並みの治癒では癒せないようになっているでげす…私の『糸』ならしなやかさと強靭さを併せ持つし、粘着力もある…死神の鎌の傷もきちんと縫合して…」

「あの…治療してもらっといて悪ィんだけどよ…」

龍太郎、そして傍らの無口少女も顔面蒼白。

「離れてくれねぇか?その…」

何というか…こんなデカイ蜘蛛を見たのは初めてだ。

象二頭分はあろうかという女郎蜘蛛。

八本の節足と、八つの複眼が動く様が何とも不気味。

無口少女など、先程からずっと鳥肌が立っている。

「失礼しちゃうでやんすねぇ、折角傷を診てやってるのに」

蜘蛛の姿で可愛くプンスカするクモノス。

でも不気味。

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