【完】短編集~幼馴染み~

やっと

俺、久保田陸<クボタリク>。高校2年生。
俺はずっと片想いしている。
それは…

「陸~、英語のノート見せて♪」

こいつ。幼馴染みの蒼井未来<アオイミライ>。

「お前、またかよ」
「いいじゃん♪」
未来は俺の机からノートを探し出す。
「お前な~~」
「お借りします♪」
そう言って自分の席に戻り、ノートを写す。

俺の隣の席の未来を、チラリ見る。
大人っぽく、なりやがって。
コイツは…、未来は覚えているだろうか。
幼きころにした、あの約束を。
思い出に浸っていると…

「陸っ」

後ろの席から、うるさい声。
「んだよ、雅貴」

浅井雅貴<アサイマサキ>。俺のダチ。

「数学のノート見せて♪」
「は?数学、さっきの時間に終わっただろ」
「ん~?寝てた!」
そう言って、ノートを見せつけられた。
ミミズみたいな文字。
正直、解読不可能。
「…ほら」
俺はノートを差し出した。
「さっすが陸♪」
そう言ってノートを奪い取り、だらだら書き写した。

「相変わらず、優しいよね、陸は」

隣を見ると、写し終えた未来が俺を見ていた。
< 131 / 587 >

この作品をシェア

pagetop