【完】短編集~幼馴染み~
1年の階である4階へ行くと、耳に入ってきた話声。
「俺、すっげぇ美人見つけた!」
「俺も!クラス表前あたりだろ?」
それって…紗季姉のことか?
「あれ、リボンの色だと3年だよな?」
「あぁ!ヤベ、また見たいんだけど!」
「彼氏いんのかな」
「フリーであることを願う!」
「…はぁ」
紗季姉のモテっぷりは、相変わらずのようだ。
ライバルは、多い。
けど、俺は…そのへんの奴らとは、違う。
紗季姉への想いは、誰にも負けない。
ため息をつきつつ、俺は6組へ入り、座席表を見て席についた。
俺の席は運がいいのか窓側の後ろ。
窓を見ると、中庭で美琴さんと日向ぼっこしている紗季姉を見つけた。
その時…
「なぁ!名前、何?」
前から声がした。
「え、俺?」
「そ、お前!俺は、善<ゼン>!善でいいから」
「俺は、風馬。よろしく、善」
「よろしく、風馬!でさ、風馬、朝一緒にいた女の人って、彼女?」
「え?」
「俺、クラス表前あたりでお前のこと見てさぁ!超美人といたから彼女かなって」
「いや、違うよ」
「じゃ、風馬の片想いか」
「なっ////」
「あ、ビンゴか」
善は…あなどれない。
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