【完】短編集~幼馴染み~
『大丈夫、じゃないよね…』
『あ、ありがとうございます…』

あたしを助けてくれたのは、細身のイケメンさんで…。
たぶん、歳はそんなに変わらないくらい。

『もう、大丈夫だよ』

そういうと、あたしの頭を撫でてくれた。

男の人にしては、細い指で、ごつごつなんてしていない、小さな綺麗な手だった。

『あ、あの…お名前とか聞いても…いいですか?』
って、なんかナンパしてるみたいじゃない!?
『あ、あの…悪用しようとか思ってないんで…っ』
『フハッ、そんなこと思わないよ。M高校の宇野千秋』
『宇野さん、本当にありがとうございました』
『いいって。あ、ここで降りるから。じゃぁね』


そう言って、優しい笑顔を残して、宇野さんは去っていった。


―――……あたしの心臓……やばいくらいに鳴ってる…。




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