偽りの恋人
まだ二十代にして課長という、絵に描いたようにエリートの道まっしぐらな私の上司、藤堂(トウドウ)課長は、女性社員の人気の的だった。
有名大学を卒業していて、仕事が出来るのはもちろん、ルックスとスタイルも他の男性社員とは桁違いに存在感がある。
スラリとした長身。さらりと分けられた前髪に、短くも長くもない黒髪。
顎がシャープ。低めのハスキーボイス。
高い鼻に、鼻筋がスッと通った、左右対称の綺麗な顔立ち。
その上に銀の細いフレームの眼鏡がかけられている。