セックス·フレンド【完結】
隆也と別れてから、あたしは、大学を休みがちになって、単位が足りず、教員免許取得をあきらめた。


放送サークルもやめ、恋愛と遊びに夢中になり、ろくに就活もしなかった。


一応、地方のテレビ·ラジオ局も受けたけれど、ことごとく落ちた。


それから、ショップ店員や、小さな広告代理店や、建築会社の事務員など、ころころと職場を変えて、最終的に倒産した美容室に落ちついた。


実を言うと、そこで働いているうちに、美容師っていいなと思い始めた。


見た目の華やかさとは違い、手は荒れるし、修行期間も長いし、お客様だってわがままだけれど、手に職を持ち、生き生きと働くスタッフたちはかっこよかった。


そう社長に言ったら、ちょうど美容師が足りないから、アシスタントとして働きながら資格をとらないかと誘われ、その気になった矢先の倒産だった。


だから、もし、隆也と会わなかったら、アルバイトして学費をため、美容学校に通おうと考えていた。


でも、美容学校に通いながらアシスタントとして働いていては、自由になる時間があまりにも少ない。


隆也は同棲しているから、夜は自由に出歩けない。でも、夜勤明けの昼間なら時間があく。


隆也は、警察官ではなく、刑務官になっていた。
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