記憶の向こう側
でも梓さんは、それ以上聞いてこなかった。
「大変そうね。私ならいつでも相談に乗るから。遠慮しないで、いつでも頼ってね。」
「はい…。」
梓さんの優しい微笑みが、何も話せなかった私の心に少しの罪悪感を生ませた。
「ごめんね、そろそろ入院患者さんの検診の時間だから…」
そう言って、梓さんは足早に去って行った。
もしかすると、梓さんなら聞いてくれたかもしれない…。
でも怖い。
思い出したくもない。
話したところで、この怖さが消えるのかも分からない。