squall
その唇が離れても。
頬は、まだその大きな手に包まれたままで。


唇を重ねただけの。
フレンチキス…。


私は閉じたその目を、すぐに開けることが出来なかった。

頬を包む佐野の手が。


―まだそのままで…


言ってるようで…。


夢と現実の狭間にいるような。
そんな感覚だったのかもしれない。

佐野はその手を静かに離すと。


―とくん……


今度はそっと、私を抱き寄せた。

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