squall
その姿を捕らえてなくても。
私の五感、すべてで、いつも佐野を意識してる。

どんな些細なことも、逃さないように。
佐野を探してる。


「…見ないの?」


そんな、もじもじモードのらしくない私を横目で見て。
佳世が小声で呟く。


「見るけど」


内心、この慣れない状況にびびりまくりのくせに。
私は強がり口調で答える。


「意外と進んでるから。私より先に終わるかもよ」
「…えっ?」


変なところで強がる…ってか、意地を張る癖。
私のかわいくないところ。


「同じ教室なんてないんだから。見とけ見とけ~」


慣れっこの佳世は、スルーしてくれるから、


「…ん」


私もすぐ。
割と素直になれたりする。

そう。
クラスが違う私には。
この状況は、めったにないチャンス。

たまに廊下ですれ違った時くらいの。
近い距離…。


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