砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




「 ―― アナ まだ何かやってるのか 」




差し出された珈琲に
真木が口をつけ、テレビに目を運ぶ




「 レースを編んで ―――
衿に今、縫い合わせてる所

そろそろ、
出来上がるんじゃないかな? 」



部屋の中は
本当にちょうどいい感じの暖かさで
窓から入って来る風が気持ち良い




…… こんな街中なのに
何処かから、緑の香りがして来るし
妙に安心するのはそのせいか




「 ――― ハーブガーデンがあるんだ 」




「 ハーブ…? 」


「 うん この部屋の、すぐ真上
この辺の ――――
四階以上の建物には、
何年か前から緑化が義務付けられてる

…とは言っても
雑草しか生えてなかったんだけど


バレンタインの日にね
朝からいきなり、業者が来た 」



「 …… 業者? 」


「 ――― ルウが送り込んで来た、刺客 」


「 …… 刺客 …って 」




ハルトが微笑む





< 336 / 569 >

この作品をシェア

pagetop