秘書室の言えなかった言葉
「俺、言っただろ?“今すぐとは言わないけど、いずれは……、って考えている”って」

「うん」

「だから、よかったよ。知里の気持ち聞けて。知里、まだ仕事したそうだったし、結婚を意識しているのって俺だけかと思っていたから」


そう言って、英治は私の頭をぐしゃっとし


「パスタ冷めるし食べるか」


私の好きな笑顔を見せる。


「うん!」


まだ仕事はしたい。

だけど、

早く英治と一緒になりたい

私の中で、そんな気持ちも生まれた。

それに、英治も私との将来を考えてくれている事がわかり、嬉しく思う。

年末のこの時期。

いつも忙しくて、クリスマスなんて言っていられない。

だけど、来年もそのまた次の年も、ずっと、ずっとこうやって英治と一緒に、そして、仲良く過ごせたらいいな。

作ったパスタを食べながら、そう思っていたのに――…


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