秘書室の言えなかった言葉
目が覚めると、私は大好きな人の匂いに包まれていた。

私が今居るのは、英治のベッドの中。


そう言えば、飲み会の帰りに英治の部屋に行く事になっていたな……


久しぶりに、英治とゆっくり出来る事が嬉しかったのだけど。


どうやって、英治の部屋まで来たんだっけ?


飲み会の途中から、私の記憶はない。


まぁ、後で英治に聞けばいいか。

それにしても、久しぶりに嫌な夢、見たよな……


それは、誠司と別れる原因になった日の出来事の夢。

別れた直後は、この夢をよく見たのだけど、月日が経ち、気持ちも落ち着いた私は、そんな嫌な夢も見なくなっていた。


久しぶりに誠司に会って、話すようになったからかな?

はぁ……


目覚めの悪い夢を見た私は、ため息を吐きながら身体を起こす。


あれ?

英治、もう起きたのかな?


今、私の居る寝室には英治の姿はない。

リビングへ行こうと、ベッドから降りようとした時、


……っ、いったぁー


私の頭にズキズキと殴られているような痛みが走る。

とりあえず、私は痛みを堪えながら、寝室を出てリビングへ。


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