抹茶な風に誘われて。
『ホストが何かって!? どっ、どうしたの突然! かをるちゃんがそんなこと知りたがるなんて』

『あんな人種と絶対関わっちゃだめだよーかをるちゃんみたいな純粋な子が! 根こそぎ貢がされて、いいように遊ばれちゃうよ?』

 電話で相談してみたら、咲ちゃんはびっくりした声で何度もそう言った。

『まっ、まあまあまあ! あのハンサムハーフさん、元ホストだったのお!? 驚きだわあ』

 私の様子がおかしいからって、心配して白状させられて、葉子さんにも目を丸くされた。

『悪いことは言わない、かをるちゃん。ホストなんていう類の男には近づかないほうがいい。かをるちゃんは今時の女子高生にしては珍しいくらい純粋だから――僕も心配だ』

 いつもは干渉しない主義のおじさんにまで真剣に言われて、私は正直ショックだった。

 だけど、私にはどうしても静さんがそんな人だとは思えなかった。

 お店に連れて行ってくれた亀元さんも、そこで働いていたスタッフさんたちも、皆優しかった。

 だからもう一度葉子さんに相談したら――。

『本当はね、自称母親代わりとしたら失格かもしれないけど……夜の職業だからっていう差別はしちゃいけないと思うの。そりゃあホストって仕事は女の人に金を落とさせてなんぼっていう職業だし、実際あの人がどんなことして生きてきたかはあたしたちにはわからないわ。でもね、こう見えても商売柄、いろんな人を見てるからわかるのよ――本当に悪い目をしてるかどうかって』

 自分の勘を信じなさい、そう葉子さんは笑ってくれた。

 だから私は信じることにしたんだ。

 静さんのことをもっと知りたい――そう感じた自分の心を。
 
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