光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「……なんだ。真藤君か」




伸一が来たのかもしれないとほんの少し期待して振り向いたけれど、その姿を確認したら期待は呆気なくはねのけられた。



ぶっきらぼうに立つ真藤君を見て、喜びの笑顔ではなく重いため息が出る。




「伸一と違って悪かったな。…てか、俺が来たことには驚かないんだ?」




あたしのため息に一瞬だけ顔をしかめるものの、真藤君はすたすたとこちらに歩み寄る。



そしてピアノに一番近い場所にある、あまり埃がかぶっていない机の上に腰掛けた。



……皮肉にもそこは、伸一の定位置だった。




「…驚かないよ。毎日ここでピアノの練習をしていることは昨日話したから、なんとなく来るような予感はしてたし」


「ふーん、そう。ちょっとは疎い性格が治ったみたいだな」




机に腰掛けてあたしよりも目線が高くなっている真藤君に見下ろされると、なんとなく気分が悪くなる。



昨日のことを思い出してしまったから、余計にそう感じるのかもしれないけれど……。



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