光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「……ごめんな。余計なことで悩ませたりして。
麻木のことだからあいつのことを諦めたとしても、善意だけで俺と付き合うことはないって分かってたんだ」
「……っ!」
あたしの答えを最初から分かっていたみたいな口振りに驚く。
真藤君は、もう顔を上げていた。
また慰めるみたいな表情をしていて、逆にこっちが辛くなってしまう。
泣くべき立場でないことは分かっているはずなのに、ボロボロと涙が流れ出した。
ものすごく胸が痛い。
……あぁ、そうだ。
真藤君はいつもこうやって自分を犠牲にして、何も言わずにあたしの傍にいたんだ。
……真藤君、言ってたよね。
麻木はいつも我慢してる、って。
指をくわえて見てるだけだ、って。
そんなの、真藤君も同じだよ……。
小学生の頃から、あたしの伸一への気持ちに気付いていた真藤君。
もしかしてもう、その頃にはあたしのことを好きでいてくれたんじゃないの?
だっていくら人間観察をしてるって言っても、ずっとあたしのことを見ていないと、そこまで気付かないでしょう?