光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「…あー、また失敗した」
練習を始めて、多分だいぶ経ったのだろう。
窓から入ってくる光も外の景色もいつしかオレンジ色に変わっていて、時々目を細めるほどに眩しい。
あたしはこの数時間の間に、新たな問題と出くわしていた。
あまりにもブランクがあるというのもその理由ではあるけど、今問題だと感じたのは自分の“手の大きさ”だった。
よく弾いていた曲も、手が大きくなった今に弾いてみると違和感がある。
それに昔の手の感覚で弾くと、どうしてもタイミングがずれてしまう。
「弾いてないって、やっぱりキツイなー…」
ため息とともに出るマイナス思考の言葉は、いつもになく重く感じられた。
……でも、練習頑張るって決めたもんね。
あたしは実技の練習を中断して、机の上にルーズリーフと筆記用具を広げた。
そして今日の練習の中で良かったと部分と悪かった部分など、気付いたことをこと細かくメモしていく。
これは、今後の参考になるようにと思って考えたこと。