光を背負う、僕ら。―第2楽章―

指先にかかった魔法




――泥沼と固い地面。


受験日に踏み出した一歩は、どちらに着地していたのだろう。



手応えがなかったから、もしかすると泥沼だったのかもしれない。



だけど、ずぶずぶと埋もれしまうのは嫌だから。

やっぱりちゃんと、固い地面に着いていたって信じたい。



たとえ片足が泥沼に突っ込みかけていたとしても、最後は自分の力に希望を託したいんだ。



泥沼から抜け出して、固い地面さえも蹴り出す。


そしてもっと、高みを目指せる一歩があるんだって――。





◇◆◇◆◇




2月下旬。

東條学園の入試日から、約1ヵ月が経ったある日。



……どうしよう。

あたし今、猛烈に泣きそうだ。



今にも破裂してしまいそうなぐらいうるさい心臓を抱えて、涙目になりながら職員室のドアを見つめていた。




『東條学園の入試結果が学校に届いた』




担任の先生にそう告げられたのは、6時限目のあとのショートホームルームが終わってからのことだった。



職員室に来るようにと言われて今まさにここに来ているわけだけど、さっきから緊張で胸が痛くてドアを開けられずにいる。



何度もドアの前をうろうろしているあたしを、廊下を歩いていく人達が不思議そうに見つめて通り過ぎていった。



……分かってる。

今更ここで往生際悪く渋ったりもがいたりしても、入試の結果が変わるわけでもない。



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