百物語

┣2本目 ぬいぐるみ

じゃあ、今度は私がお話します。

私のは不思議な話です。

これは小学生の頃の話です。

私は珍しく、遅くまで(と言ってもこの頃は寝るのが21時だったので、大体22時くらいです)宿題をしていました。

正直、問題児だったので宿題はもちろん、部屋は汚いだらしのない生活をしていました。なので、部屋にはぬいぐるみがあちこちに、それも無造作に散らかっていました。

宿題が終わって、寝室に向かおうとした私は、足元にあった妹のぬいぐるみのたぬきの人形を跨ぐのも面倒だったので踏みつけました。

すると…

――「おぎゃあ」

と、鳴きました。その人形は音が出るタイプではありません。私はそのたぬきの人形を持ち上げて下を確認しましたが、音がなるようなものはありません。

怖くなった私はたぬきの人形をクローゼットに投げ込み家族の寝ている寝室に走ってベッドに潜り込み眠りにつきました。

次の朝です。

私は時間割をするのを忘れていたので、早く起き部屋に行きました。

部屋を見た瞬間、息を飲みました。

だって……あのたぬきの人形がクローゼットの外に立て掛けてあったんですから。

佇む様に部屋の真ん中を見ながら。

その事を家族に確認しても、最後に寝たのは私で最初に起きたのも私でした。

何故、たぬきの人形は出ていたのかは分かりません。
しかし、また踏んづけても鳴る事はありませんでした。

――怖い話だったかな?

でも、たぬきの人形だっただけ不思議と恐怖はなかったですよ(笑)

ともかく、私の話はこれでおしまいです。


――フッ シュポ
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