太陽と雪
花火を見物した後、動物病院の皆と鑑識の皆にお土産をたっぷり買い込んでから、ホテルに戻った。

主にお菓子。

消えものならいいだろう。

夕食のときから、疑問に思っていたこと。

いつもより麗眞の口数が少ない。

いつもは美味しいやら、椎菜ちゃんの惚気話やら、高校の時の同級生との思い出話やらを聞いてもいないのに話してくる。

相沢さんも気に留める様子はない。
じゃあ……相沢さんも知ってるのか……


麗眞は、いつもそう。

隠し事があるときは、めっきり口数が減る。


思いきって、聞いてみようかしら。
こういう時は単刀直入が一番なのだ。

「ちょっと、いいかしら?
麗眞」


「な……何だよ、姉さん……」


「貴方……何かない?
私に隠してること」


「あるわけないでしょ」


「バカね。
何年アンタの姉、やってると思ってるの?

貴方が隠し事をしているとき……めっきり口数が減るわ。

しかも……隠し事をしている相手限定で。

高校の時、貴方のお友達に、その子の想い人が海外に行くことを隠してたときも、たしかそんな感じだったわね」


「なっ……」


「話しなさい、麗眞!!
貴方いったい……私に何を隠してるの?」


「言えねぇよ……姉さんには……」


「では……麗眞さま、相沢。

私には……話せますね?」


「矢吹……」


頷いた麗眞を見て、少しの間待つように言って、矢吹は私を部屋に戻らせた。


「じゃあ……私はお風呂入ってくるから」


何の話……してるのよ……

気になるじゃない。
……痛っ……

やはり、靴擦れした部分に水やお湯がしみると、痛いわね……


「彩お嬢様?

さきほどから痛がっているようですが、大丈夫でございますか?」


「靴擦れの部分がしみて痛いだけ。
気にしないでいいわよ?

さ、着替えるから出ていって」


「彩お嬢様。

それだけはなりません。

いくら貸し切りになっている有名テーマパーク内のホテルといえども、誰が見ているかわかりません。

壁に耳あり、といいますから」


「仕方ないわね。
後ろを向いていてくれるなら、いいわよ」


パジャマ代わりに持ってきた、マキシ丈黒レースワンピを着る。

ドアが閉まる音を聞きながらこの部屋で本日2度目の眠りについた。


< 45 / 267 >

この作品をシェア

pagetop