大好きだから……
「流石に死ぬのはヤダからもう行くねー。レノンも頑張ってねー」


それだけ言うと、長いツインテールの髪を靡かせ、三階のこの部屋から下のベランダに飛び降りる。

すたっと綺麗に着地を成功させれば、僕に手をふりながら残像が見えるんじゃないかと思うほどの速さで走り去っていく 。

「………やっと自分のことができる」


ふぅっとため息一つ。レポートの続きをしようと振り返ると、どこから視線を感じた。

殺意を込められたような視線じゃない。観察をしているような視線だ。


だけど、どこから、誰の視線かは分からない。


ぐるっと一回り見てみるが、それらしき人物を見つけられず、諦めてレポートに取りかかることにした。


どうせ、戦術科の者が犯人としたら、科学者の僕が見つけられるわけがないんだから。


「気にしない方が吉だよな」



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