恋人という名のゲーム
「…調子に乗らないでください」

『厳しいなあ』


くすくす笑う久我くんに、気分を害した様子はない。やっぱり、からかわれてるみたいだ。


『食事だけじゃなくてさ、休みにどっか出かけたいね。初デート』

「だから、つきあってないでしょ」

『表向きはデートでしょ。美咲は行きたいとこある?』

このままでは、なし崩し的にデートにもっていかれそうだ。考えを巡らせて、ふと気づいた。


「久我くんって仕事忙しいんでしょ? 有休とか、とれてるんですか?」

『ああ、休み取れなくて、けっこう捨ててるかな』


「そっか。私、休み平日だし、久我くんのとこって、土日休みですよね? 合わないですね、休み」

『声が嬉しそうだよ、美咲』

「…そんなこと、ないよ」


しまった。ばれてしまった。
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