十三日間
……………………………


「本当だって! この顔見て見ろよっ!」

集まった男たちのうちの一人が、大声でそう言う。

「こいつ、首が絞まった瞬間に、『よかった…』って言ったんだ! しかも、笑いながら!」

青年の身体を指さしながら、そう続ける。

彼が指さした先には、ロープに吊られてぶら下がる人影が一つ。

周りの男たちが見上げると、下を向いた彼の顔がよく見えた。
彼らを見下ろすように俯いている。


吊り下がった彼の顔には、幸せそうな笑みが、はりついていた。






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