十三日間
シュウのおかげで、会話する楽しみや、その方法を会得していった俺は、俺を教育する連中に、別の付加価値を見いだされたようだ。
それまでは、能力、適応力等はあるが、今一使い勝手が良くない人材だったのだろうと思う。

今までの俺は、自分一人が生きていければ良く、他人は存在しないも同然だった。

だが、それでは今後使い物にならない。
所詮、人間社会にしか生きていけないのだから、様々な種類の人々が、どのように考え、どう行動するか。それを予測できるか否かは、何をする上でも必要な能力だ。

俺は、その方法を教育で学び、実践で試し、着実に自分のものにしていった。

だが、それとは別に、シュウとの時間は、俺にとって息抜きといういか、純粋に楽しいものだった。

初めて、人に心を許し、ただ一緒にいたいと思った。

…他の人間に対しては、相手が自分をどう思っているのかちゃんと見抜けたのに、どうしてシュウに対してだけ、判らなかったのだろう?
そうであって欲しいという願望が、俺の目を狂わせたのだろうか?

どちらにしろ、俺が友を得たという錯覚は、そう長くは続かなかった。

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