囚われジョーカー【完】



同じ時期にここでバイトを始めた清水くん。明るくて、見た目はチャラいなとか思ったけど。持っているものは真っ直ぐで。


何せ、風邪も引いたことないんじゃないかと思わせる元気の持ち主だ。今日休みだと聞いて驚いた。




私って機械が淹れた珈琲を啜りながら、時々「んー」とか「あー」とか唸る明日香さんだったが。


何か閃いたらしく、キラキラと輝く笑顔を私に向けてきた。



何だ、と眉を顰めた私に明日香さんはニヤリ、ニヒルな笑みを浮かべまた珈琲を啜る。そのまま視線は私で固定されているから、居心地の悪さが浮き彫りになる。


これは、私にどうしたのか聞いてくれというアピールなのか?




「…何か、あるんですか?」


警戒心は捨てきれず、あまり視線を合わせずにそう言った私。



明日香さんはと言うと。火傷するかもなんてことはお構いなしに、残りの珈琲をぐっと喉に流し込みカップを机に置く。




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