囚われジョーカー【完】
「菫ー。」
「……何ですか。」
手招きをして私を呼んでいる三浦さんの顔は企み顔で、その笑顔の胡散臭さと言えば。
次第に睨むような目つきになってしまった私に向けられる笑顔は絶えることなく。それと同じく手招きを止める様子もない。
渋々と言った様子で三浦さんの傍へと歩み寄った私は、直ぐに後悔。
目の前まで近寄った私の腰に素早い動きで腕を回し引き寄せた三浦さん。
近くなった距離や、絡まり合う色っぽい熱視線に抵抗するという意志を奪われてしまう。
「…と、まずは確認だな。」
「?」
思い出したようにそう呟き、急に真剣だが優しい色を瞳に孕ませた三浦さんに私はまた首を傾げて見せた。
「お前の中の気持ち、整理できたの?」
「整理、は………」
出来ました。そう言った私の頭を三浦さんは柔和な笑みを浮かべて撫でてくれた。