囚われジョーカー【完】




そう言われて、私は今日彼に話しかけられ抱いていた疑問をぶつけた。


「どうして清水くんここにいるの?」


首を傾げた私に、清水くんは愉しげに笑い当たり前の答えを口にした。



「俺、ここの理数科。」


科が違うから今まで会わなかったんだね、とはにかむ清水くんにそれはそうだと納得。


でもどちらかと言えば今私達がいる中庭は文学科寄りにある。だから、理数科の人はあまりこの中庭には来ない。



「…何か用があったの?」

「え?あー…うん、ちょっとね。」


お茶を濁すような質問の答えに、私は訝しげに眉を寄せたが清水くんがにっこりと笑うからそれ以上は詮索しなかった。

それよりも、同じ大学だったということに今更気付くなんてどうしたものか。


科が違うから確かに会わないけども。





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