囚われジョーカー【完】




真っ直ぐ清水くんから視線を逸らさない。今日はごめん、帰って欲しいという念を込め目で伝えようとする私。


何かしら私の視線から受け取ってくれたらしく、清水くんは渋々と言った様子で帰って行った。



――――当然、この場に残されたのは。

私と、隣で煙草を吹かしている三浦さんだけになる。


三浦さんは煙草片手に星一つ見えない、墨汁をぶちまけたような夜空を仰ぐ。お互いに相手の出方を窺っている私達の間を冷たい風が吹き抜けた。


と。
暫くの沈黙が続いた後、「菫」と私の名を呼ぶ静かな声が響いた。

ゆっくりと視線を持ち上げ、隣に立つ三浦さんの横顔を見上げれば。三浦さんも横目で私を見下ろしている。



「…部屋、入れて。」

「……何でいるんですか。」

「寒い。早く。」

「……。」


我が儘って言うか、俺様な性格は何時まで経っても変わらないんだろうな。





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