流星群
出逢った僕ら

one

きっと小学生だったと思う。
秋もだんだん終わりに近付く頃、僕らは二人で丘にいた。
【獅子座流星群】
年に一度11月の半ばから終盤に出現する、いわゆる沢山の星。

必ず冬にやってくる獅子座流星群。
君の瞳には、きっとこの流星群が夢に見えてたと思う。

彼女は、父子家庭だった。
母親を早くに亡くし、父親と二人暮らしだと言っていた気がする。
でも、これはぼんやりとしていて昔のことだから、あまり覚えてない。

彼女は、とても天真爛漫だった。
いくら寒くても外で遊ぶし、暑くてもばてたりせずに遊んでいた。

いっぽう僕は、そんな彼女を見つめているだけだった。
なぜかって?
それは僕が、心臓に病気を抱えていたから。
いや、“今も”抱えている。

生まれつきの病気だから、あまりピンとこない。
こんなもんなのかと思っていたからね。
けれど、外で元気に走り回れない現実は、
まだ幼かった僕には早すぎたのかもしれない。
僕は、病院のベッドで寝たきり。
けれど、ほかの子は走り回れる。

僕は現実から逃げ出したかった。
つまらない毎日に飽き飽きしていた。
そんな時、彼女に出会った。

その子は「カナ」と言った。
カナは、【慢性骨髄性白血病】だった。

けれど、カナはいたって元気だったんだ。
病気なんて感じさせない性格、そして笑顔。
僕は小さいながらも、カナに惚れていた。

そう、カナに恋してたんだ。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop