。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「…ハァ…ハァ…」

勢い良く、図書室のドアを開けた。

誰かいたら、ごめんなさい。

うるさい…よね。

「ははっ。そんなに急いでどうしたの?」

「ごめんなさいっ。うるさくして」

「いいよ〜。奏歌ちゃんを待ってたから」

あたしを…?

とにかく、全力で下げていた頭を上げた。

「奏クン!?」

驚きました。

だって、答え探しに来たら、本人登場!!みた

いな…

「やっと来てくれたね。俺、一週間も待って

たんだよ〜」

「ごめんなさいっ…待ってただなんて、知ら

なくて…遅かったよね?」

もっと早くに、ここに来ていれば…

「ううん。遅くないよ。ここに…俺を覚えて

てくれただけで、嬉しかった」

「奏クン…」

そんなこと…嬉しかっただなんて。

奏クンは、どこまでいい人なんだろう。

とにかく、奏クンの目を見て謝れるように、

奏クンの方へ歩み寄った。

「ごめんねっ…」

あたし、バカだから。

どうしていいか、わからなかった。

「今日は…」

あたしに微笑みながら、奏クンがあたしの髪

を触る。

「ポニーテールなんだね。急いできた?」





ドキッとした。

だって、こんなにも距離が近いんだもん。

目を…見つめてくるんだもん。
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