。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「梨那、あたしね…特進クラスに、希望出し

てみようと思ってる」

「…なんとなく、わかってたよ。違うクラス

になるのは、寂しいけど、あたしたちは、親

友だから」

「ありがとう」

…君の指定席に、君がいない。

あたしが2位なんてとっていなければ、君は

…いつもの場所にいたよね。

あたしが…邪魔だったのかな?

あたしと君が…出会わなければ。

君は、ずっと…みんなのために、黒板消しち

ゃうような、優しい人のままだったの?

…ううん。

今も、優しい人なんだよ。

あたしは…君が、優しさのなくなった人だと

は思えないから。

…あたしは、こんなところが甘いのかも。

バカにされてるのに…期待しちゃうのかもし

れない。

…あたしに、なにがしたいの?

忘れたいのに…忘れさせてくれない。

君の存在が大きすぎて…忘れられない。

もしかしたら…忘れたくないのかも。

もしかしたら…一生、忘れられないのかもし

れない。

あたし…大袈裟かな?

でも、ふとした時に、君を思い出して。

寝る前なんかに、君のことを考えると、君が

夢に出てきて。

夢の中で、幸せに笑ってる、君とあたしが…

羨ましくて、しょうがなくて。

夢じゃないんじゃないかって、信じたくなっ

て。

…あたし、バカだよね。

朝起きた時の、幸せに満ちた感じと、偽りの

世界だったって、悲しみに満ちた感じを…裏

みたくなる。

…新しい、恋がしたい。

もう、君のことを、過去の人なんだ…って、

笑えるようになりたいよ。

君の声を聞くだけで…

君の名前を聞くだけで…

ドキドキしたり、切なくなったりするの、も

う疲れたよ…

でも、あたしの傍には君がいて。

実際にいなくても、あたしの心の中に、君が

いて。

あたしは、恋と縁がないのかな…

君を越える、好きになれる人がいないよ。

…大好きなの。

今も…まだ。

もう、前みたいに戻れないのは、わかってる

よ。

けど…好きなの。

無意識に、君のことを考えちゃうの。

クラスで、たまたま目が合っただけで、嬉し

いの。

…切なくなるほど、好きなの。

でも…これ以上好きでいることは、精神的に

ダメになっちゃう。

ボロボロになっちゃう…

迷ってられない。

迷ってたら、自分がボロボロになる…

諦めなきゃ…

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