。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-親戚-

「おい、ホームルーム始める」

朝一番。

うちのクラスは、俊兄の殺気から始まる。

「紹介するな~。転校生の…」

転校生?

早くね?

まだ、学校始まったばっかだし。

「榎樹≪かき≫…」

榎樹!?

「翔≪しょう≫だ。ほら、挨拶」

……………ヤバイ。

「碧~!!」

…来た。

「大好きだよっ!!」


―バチーンッ…


聞こえました?

この、平手の音。

「いつになったら直るんだ、てめぇ!!」

「碧、前に増して怖くなったね!!」

もっと力が強くなる。

「だから、いきなり人に抱きつく癖、いい加

減に直せっつってんだよ!!」

「でもさ…碧に久しぶりに会えたし」

「…翔、うざい」

「うわ~ん!!碧がいじめる!!」

ねぇ、翔クン?

まわりを見てごらん。

翔の雰囲気に、みんな引いてるよ。

「みなさん、翔はこんな奴です」

自己紹介、これでいいでしょ。

「翔って…碧なに?」

「俊兄、翔は親戚」

「お~!!親戚か!」

「で、俺の弟のような奴?」

「そう!!俺、碧の弟になりたい!!」

…翔、相変わらず可愛いね。

男勝りなあたしより、翔の方が可愛い。

しかも、顔も可愛いし。

…本当に可愛い。

「で、翔?もうそろそろ、俺から離れな?じ

ゃないと…」


―ゴツンッ


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