。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「夕暮ってさ、めっちゃアニ声じゃね?」
「アニ声ってなに~?」
「アニ声知らねぇの?声優みたいな声っつー
意味。アニメに出てくる声的な」
「そうなんだ~」
アニ声かぁ…
声優っぽいってこと?
それ、結構嬉しいかも!!
「だから、夕暮の声は、オタクウケのいい声
っつーこと。お前、気の毒だな」
「気の毒って…ひどいよっ」
「まぁ、夕暮にはお似合いなんじゃね?」
「坂下≪さかした≫クンのバカッ」
「んな怒んなよ」
「怒ってないもん…」
「な~おっ!!」
「あっ、彩希≪さき≫」
「奈央、バカな坂下はほっときなよ」
「あっ…うん」
「おいっ、夕暮。否定しろよっ」
「あたし、わかんないもん」
「おい…まぁ、いいわ。夕暮だし」
「おい、坂下。うちの奈央をとんなよ」
「ったく、川崎≪かわさき≫はこぇな」
「…坂下、あんた誰に向かってそれ言ってん
の?奈央は、誰にも渡さないから。うちのな
の!!青葉光輝にも渡さない!!」
「彩希…光輝クンは関係ないでしょ~?」
「光輝って誰だよ!?」
「坂下、奈央の好きな人も知らないの!?かわ
いそっ」
「夕暮、光輝って奴が好きなのか!?」
「ちょっと待ってっ。光輝クンは好きな人な
んかじゃないよ!!光輝クンは、憧れだもん」
「夕暮が男のこと、名前で呼ぶとか普通じゃ
なくね?なんなんだよ、その光輝って」
「光輝クンは、あたしの憧れの声優さん!!だ
から、好きな人じゃないよっ!!」
「声優って…」
「ほんとに、有名な人なんだよ~」
「ったく、川崎のバカ」
「彩希のこと、バカとか言わないで!!あたし
の大事な友達だから…」
「…はぁ。わかったから」
「ありがと」
「ほら、奈央。帰ろっ」
「うんっ」
憧れの光輝クン。
あたしは、貴方に会ってみたいです。
貴方に会った時、可愛いって思ってもらえる
ように、頑張って可愛い女の子になりたいで
す。