。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
夕暮は…俺の初恋の相手なんだ。

好きになったのは、受験の時。

会場がたまたま同じで…

なにしてたかは覚えてねぇけど…

まぁ、とにかく困ってたんだよな。

その時、どうしたんですか?って、俺に優し

く笑いかけてきたんだ。

夕暮の、その時の笑顔が忘れられなくて…

俺の困っていたことを聞いて、俺を助けてく

れた。

最後に…

「同じ高校に通おうねっ」

って、最高に輝いた笑顔をくれた。

その笑顔。

行動に、俺は見惚れてしまい…

自分がなにに困ってたかも、俺自身がどうな

っていたかも覚えていない。

ただ1つ、俺が覚えていたのは、夕暮の笑顔

と優しさだけだった。

…恥ずかしいけどさ。

俺、夕暮に一目惚れしたんだ。

優しさに…

で、俺は入試を頑張って…

合格したんだ。

合格発表を見に行った時、自分が受かってい

て、すごく嬉しかった。

受験とかどっちでも良かった。

別に受からなくたって、予備の学校に行けば

良かったのに、どうしても受からなければい

けないっ思った。

…それも、夕暮への想いからだった。

でも、夕暮の受験番号も知らなかったし、名

前すらも知らなかったから、夕暮が合格した

かどうかもわからなかった。

そして、入学式の日。

クラスに入った俺は、思わずにやけてしまっ

た。

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