シンデレラルーム 702号室
瞬哉は俺に向かって小さくガッツポーズを作り、真顔でそんなバカなことを言うと

困惑したままの雪音さんの手を引いて部屋に向かっていった。



二人がここに来るなんて本当に珍しい。

瞬哉の部屋が使えない事情でもあるのだろうか。



「早く結婚すればいいのにな…」


そう呟いて事務所のドアノブに手を掛けた時。


俺がどうやって莉子にプロポーズしたかを、この間瞬哉にやたら聞かれたことを思い出した。



さっきの『やってきます!』ってのは、もしかして……


プロポーズ?

ここ(ラブホ)で??



もしそうだとしたら、ロマンチストな雪音さんには……


「…断られたりして」


縁起でもない、悪魔な一言を口にして、俺は一人苦笑いしたのだった。






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