あやとり

同時に優ちゃんからの連絡を待っている自分がいることに気付いた。

甲斐君の転校の話を彼女にしたくてうずうずしていたのだ。

反応が見たかった。

私のほうが先に知ったことにどう思うのか。

しかし、口止めされている限り、自分からそれを言うのは甲斐君に対して罪悪感を持ってしまいそうで避けたかった。

優ちゃんから何か訊かれた話の流れで、ぽろっと口にするのが理想的だと思っていたから、優ちゃんからの連絡を心待ちにしていた。

もしかしたら、もう直接甲斐君が話しているのかもしれない。

そのことも確認したかった。



直哉と会っていないことはやはり寂しかった。

少なくても一週間に二度くらいは連絡を取っていたのに、全然喋っていない。

寂しかったけれど、会いたいと行動するまでには至らない。

直哉のことを男の人として好きなのかどうか自分でもわからなくなっていた。

それ以上に優ちゃんと甲斐君のことが気になって仕方ない。

そういう自分を認めないわけにはいかなくなっていた。


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