あやとり
「お母さん、みぃちゃんが入院しちゃうとさ、いつも台所でため息ばっかりで、『可哀想な雅。ごめんね、健康に産んであげられなくて』って、言っていたのよ」
優ちゃんがしんみりと言葉にした。
白い壁、ベッドの上だけの自分の居場所、母のため息、帰っていく後ろ姿。
違っているのは母のため息の意味。
ここで今、耳にした話と、幼き私が捉えた意味と。
「そんなこともあったわね。みぃちゃんがだんだんと丈夫になってくれたから、思い出話になったんだね」
鼻の奥が痛い。
もっと早く知りたかった。