あやとり


翌日に、犯人の自首を伝える記事が新聞に載っていた。

優ちゃんが一番心配していた甲斐君のことには、ただ〈年下の男性との交際を妬み〉と書かれていて、記事はそれ以上、甲斐君のことには触れていなかった。

「ほんとうによかった」

優ちゃんは新聞を手に心からほっとしているようだった。

優ちゃんは最初から、栗木を庇っていたのではなく、甲斐君を巻き込んでしまうことだけを避けたかったのだ。

優ちゃんにとって甲斐君はそれほどまでに大切な存在だということを思い知らされる。

そのことを甲斐君自身もよくわかっていたのだろう。

だから彼は最終的に優ちゃんの意思に添うのだ。


< 203 / 212 >

この作品をシェア

pagetop