あやとり

先生のことを姉に話し、一度は三人で食事に出掛けたものの、先生は姉の何者にもなれなかった。

ルックスも職業も申し分ないはずなのに、付き合わなかった理由を彼女はこう言った。

「向かい合える人じゃなきゃ、あやとりって出来ないでしょう」

「あやとり?」

「うん」

「なんで、教えてあげれば出来ると思うよ」

優ちゃんはクスッと笑って、首を振った。

「教えてあげられるあやとりじゃないのよ、きっと」

私には言葉の意味がわからなかった。


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