ボディガードの彼
第一章

1.ロイ

あたしの父親が、日本の首相になってしまった。


しかも、反逆分子がいっぱいの、いつクーデターが起こるかもわからないって、この時期に。


20××年東京。
あたしは、ふつーの女子高生のはずだった。


「お嬢さま。登下校の際は、必ず私どもがお供しますから」


SPの頭の本田が言う。
でも、そんなこと言っておきながら、この前、あたしは校門を出たわずかなスキに、誘拐されそうになったんだよね。


「その、お嬢さまって言うのはやめて」


あたしは、いままで、《杏奈》って呼ばれてたから、その、虫唾が走るような《お嬢さま》っていうのだけは、是非ともやめてもらいたいと思っていた。
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