前世と今~記憶の鎖~

子育てと弟

~数日後~

昨日、美紗子と暁が共に退院してきた

「ふあぁぁ~」

優希は布団から、ゆっくり起き上がる
子ども園に行っていない優希の1日はとてもゆっくりだ

「オギャーオギャー!!」

そんなゆったりで、静かな朝に大きな声は響き渡る
その声はリビングからだ

「暁か…」

声の大きさに若干驚きつつ、優希はリビングに行く
リビングに入った瞬間、その場の惨状に優希の顔が引きつる
ドロボウでも入ったか…と言うくらい、物が散乱している
暁は動き回れないので、この原因は美紗子だろう

「お母さん、落ち着いて」

大声で泣かれることが初めてなためか。美紗子は混乱していた
何をして良いのか分からず、オロオロしている
まるで初めて子育てをする母親だ…
初めての子が優希であったため、実質手のかかる子育てはこれが初めてだろう

「もうミルクあげたのにぃ…」

何故泣いているのか、理由が分からず泣きそうになっている美紗子
優希が泣く時は理由があり、それが解消されれば大人しくなっていた
そのため、今の状況をどうすれば良いのか分からない

「はぁ…ミルクやないなら、オムツかもね
そうやなかったら、眠いだけかもしれへん」

見かねた優希が、ため息混じりにそう言うと、美紗子は慌ててオムツを確認する

「(臭くないから、眠いんやろ…それか、ただの不機嫌か…)
お母さん、寝かせるなら自分がやるから、家事しときぃ」
「そう?助かるわ!じゃぁ、任せるわね!」

そう言い残し美佐子はキッチンへ朝ご飯の準備をしに行く
優希は少し大きめのため息をつき、暁の寝転んでいる側に座る

(いくら前世の記憶持ってるからって…んな易々と任せてえぇんか?)

少し美紗子に不安を感じた瞬間だった
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