前世と今~記憶の鎖~

暁の危機

さて、今日は暁のお話をしましょう
パチクリと大きな目を開き、キョロキョロと辺りを見回しています
3ヶ月で首がすわり、4・5ヶ月で寝返り…そして6ヶ月の今…

「ぅ~~ぁッ!」

目を離すと、ハイハイで何処かへ消え去ります…
先ほどまで、寝転んで周りを見回していたのに、今はすでにキッチンだ
ちなみに美紗子は洗濯物を干しにベランダに出ている
哲夫は平日なので、仕事中

「ぅ?」

目の前に広がる見慣れぬ風景に、暁は首を傾げながらも突き進む
美紗子は知らないだろうが…動き始めた今の時期目を離すのはとても危険だ
しかし彼女の第一子が優希であったため、その辺に関して無知に近い
それゆえに、暁がいた部屋のドアを開け放ったまま洗濯物を干しているのだ

「ぁ~ぅ~~」

暁はキッチンの中を一通り徘徊すると、ピタリと一つの扉の前で止まる
コロンと座り、出っ張りをジーっと見つめる
出っ張りとは、水回り収納の取っ手部分
暁は何を思ったのか考えたのか…扉に近づき、扉を伝って取っ手に掴まる
いわゆる、掴まり立ち…掴まっているものを考えなければ微笑ましいだろう
掴まり立ちが出来て嬉しいのか、足を曲げ伸ばしして喜びを表現している

「ぅ~ぁ~」

調子に乗っていると、振動の影響か…扉が開いた

「ぅ?」

ガシャーン!!

状況が理解出来てないその体は、遠心力にしたがい投げ出される
コロコロコテンと転がり、クルリと大きい目で辺りをうかがう
状況が理解出来ていないのだろう
その大きな目に、床に散乱した鍋や包丁などの危険物が目に入る
鍋はまだいいのだが…包丁は持つところによっては大ケガだ
暁が興味を持ったものは…
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