恋愛不向きの彼の愛し方
しかもシェフは、本場イタリアのレストランで修業したとあって、そこらのお店とは比べものにならないくらい美味しいという噂。


「そ、そんなに言うなら」


目の前に出されたスペ定の誘惑に負けた瞬間、


「後悔させないからね。あッ、海斗さんは駄目だから。ぜーたいに、近づかないでね」


テンションがMAXになった杏里の話は、長かった。


海斗さんというイケメン歯科医について熱く語られ、ハッキリ言ってスペ定の美味しさ半減。


相槌を打つだけの私に、


「怜香の好きなタイプ頼んでおくからさ」


付け足す杏里にため息を一つ吐いた。


「私の好きなタイプって杏里にわかるの?」


「だって、陸哉さん見てればわかるって。見た目爽やかで、ちょっとエロい人でしょ?」


「杏里……あんたって、」


最早、ため息しか出てこない。
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